木材学会誌
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一般論文
オイルパーム材のバイオエタノール製造原料としての特性
村井 宏輔内田 隆一郎大久保 篤史近藤 隆一郎
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2009 年 55 巻 6 号 p. 346-355

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抄録

樹齢25年のオイルパーム材樹幹から部位ごとに木片をサンプリングし,それぞれのアルコール・ベンゼン可溶部量,ホロセルロース量,リグニン量,熱水抽出物量及び抽出グルコース量を測定した。その結果,熱水抽出量,抽出グルコース量共に樹幹上部,材中心部ほど増加した。熱水抽出と同時にアミラーゼ処理を行ったところ,可溶性糖としてグルコース,フルクトース,スクロースが検出された。各部位での定量値から,樹幹全体(樹高0.5 m~9.5 m)からの可溶性糖はグルコース63 kg,フルクトース13 kg,スクロース11 kgと算出され,推定エタノール量は51.5 L/本,耕地面積あたりの推定エタノール収量は7.4 kL/haとなった。またオイルパーム木粉から抽出した糖液を木粉共存下でZymomonas mobilisによる発酵試験を行った結果,グルコース溶液を用いたコントロール発酵試験とほぼ同等のエタノール収率が得られ,発酵阻害は見られなかった。以上の点から,オイルパーム材はバイオエタノール製造原料として有望であると予想された。

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© 2009 一般社団法人 日本木材学会
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